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日和んぐ

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2008.07.08 Tue 「 閻魔大王と鬼男物書き
物書き。
とらえ方によっては腐って見えなくもないので注意。
某/R/P/G/の影響受けまくってます。




とても嫌な夢をみた。

先が見えないただただ真っ暗な闇。
その闇に自分が取り込まれていくのを
自分が見ていた。


タスケテ
タスケテ
タスケテ


自分が言ったのか
それともこの闇が言ったのか
分からない。
手を伸ばし必死に何かに縋り付こうとしても、
空を切るばかり。


”駄目だよ”


そう言ったのは、自分だった。
闇に取り込まれそうになっている自分を
見下ろしている自分。
闇を指差し、自分に語りかけてくる。


”其れは、お前の罪だ”


必死に足掻いてた手を止める。


あァ…そうか…これは今まで裁いてきた者たちの…

…だったら、受け入れなきゃ…なのかな…


これが今までやってきたことの報いならば
受けなければならない。
こうなることは、自分が閻魔になったときから
分かっていたのだから。


闇に落ちることに恐怖はなかった。
そう…あるのは恐怖ではなく、悲しみ。
とても深い悲しみ。


鬼男君…やっぱり怒るかなァ…


いつも隣に居た秘書の鬼男。
自分が頼りないばっかりに、いつも迷惑かけてしまった。


…ごめんね、鬼男君…


目を瞑り、侵食する闇を受け入れる。


…さようなら…


力なく伸ばしていた手を下ろそうとした瞬間、




”行くなっっ!!!!!”




どこからともなく聞こえたその声にハッとする。
聞きなれた声。いつも一緒にいた人の声。
闇に侵食され、ついに幻聴まで聞こえるようになったかと
思ったが、その考えはすぐに却下された。

必死に声のする方を見上げてみると、
自分を見下ろしている自分の隣にかすかに光が見える。
さっきまで真っ暗な闇しかなかったのに。

その光は徐々に人の形になった。
人間と違うのは頭に角が2つあること。


…鬼男…くん…?


もう声が出ない。それでも、心の中で
必死に答える。


”大王っ!行ったら駄目だ!”

…でも…私はこの者たちを裁いた罪を…

”なんであんた一人で全部背負っちまうんだよ!?”

……

”僕も堕ちる時は共に堕ちます。だってそうでしょう?
僕は閻魔大王の秘書だ。どこまでもご一緒しますよ”

……

”でもまだその時じゃない!あんたはまだやらなきゃ行けないことがある!”

…やらなきゃいけない…こと?

”まだ裁きを待ってる奴らがいる。きちんとした裁きを
待ち望んでいる奴らがたくさん居るんだ!そいつらを放置するつもりか!?”

…裁きを待ち望んで………でも…でも…

”えぇい!ごちゃごちゃ煩いっ!じゃぁあんたはどうなんだ!?”

…私…?

”そうだ。大王はこのままこの闇に取り込まれていいのか?”

…それで…私の罪が許されるのなら……

”そうじゃない!罪とか罰とかそういうんじゃない!「あんた」自身の答えだ!”


鬼男の形をした光は言い終えると、
手を差し伸べる。


一度は受け入れようと思った罪。
でもそれは本当に心から願った事なのだろうか。
否、そんなこと望んでなんかいない。
まだいっぱい馬鹿やりたいし、仕事もそれなりに頑張りたいし、
何より、鬼男君と一緒に居たい。


「…私の…俺の答えは……!!」




さっきまで出なかった声を無理やり絞り出し、
光の方向に手を伸ばす。
鬼男が差し出した手を掴むべく。

伸ばした手を鬼男が掴むと
闇から勢いよく引き抜かれ、光のもとへ誘われる。

そして闇に取り込まれそうになっていた自分を
見下ろしていた自分がすれ違い様に
ポツリとつぶやいた。








”それがお前の「答え」か”








…大……


閻魔…大…




「閻魔大王っ!!!」




ハッと目が覚める。
辺りを見渡すと、そこは見慣れた場所。
死んだ者たちを天国か地獄へ裁く部屋。

「大丈夫ですか?大王。汗びっしょりですよ」

少し心配そうに秘書の鬼男が、
タオルを差し出しながら、大王の椅子の隣に立つ。

「…夢…?」

最初ぼんやりしていた意識がやがてはっきりしてきた。

「もうー仕事中に寝るから夢見が悪くなるんですよ!」

やれやれという感じで、鬼男が言う。
いつもと同じ。なんら変わらないいつもの日常。
時間を見ると休憩時間のため、裁かれる者たちは部屋に居ない。
しかし、ごってりと仕事の書類だけは机の上に積み重なっていた。

「そっか…夢か…」

ぼそりと呟く。

いつもと違う様子の大王に鬼男は首を傾げる。
そんな鬼男に気づき、苦笑する。

「まさか鬼男君に助けられちゃうとはなぁ…」

鬼男は頭に「?」を浮かべてさらに首を傾げる。
それを見てさらに笑いがこみ上げてくる。
閻魔が何故笑っているのか分からず、鬼男はムッとした。

「寝すぎで頭にウジでも湧きましたか?」

「ふふ…っ!相変わらず辛辣だなァ、鬼男君は!」



 


暴言を吐いても尚も笑っている。
この人がこんなに笑っているのを、久しぶりに見た。
なんだか分からなくて、笑われていることに
少し赤面しつつ顔をそらす。


「…うん。鬼男君…ありがとう…」

ぼそっと言った閻魔の言葉は思い掛けない感謝の言葉。

「え?」

聞き返そうと振り返ると、
閻魔は席を立ち背伸びをしている。

「ふぁーよく寝た!さぁて仕事山ほど残ってるし、いっちょがんばるかな!」

いつになくやる気の閻魔にますます困惑する鬼男。
まぁ仕事放置で逃げられるより全然ましなんだけども。

「でも…これ残業…かな…」

改めて書類の積み上がった机を見ると、やる気が急に
削がれていくような気がした。

「お供しますよ」

鬼男がそういうと、閻魔の椅子の隣という
定位置に立つ。


「おうよ!さくさく終わらせて、セーラー服のバーゲンセールに行くぞー!」

「……はぁ!?何ってんだこの大王イカ!っていうかそもそも、
セーラー服のバーゲンセールって何だよ!!!」

「え。セーラー服をバーゲンしてるセール」

「……(爪しゃきん)……」

「ぎゃひぃッッ!」





王が望んだ世界。
いつまでもこのままで。
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無題
by 翡翠 2008.07.08 Tue 20:20 EDIT
うはーwww素敵ですねwww
文も書けるなんて羨ましすぎますww

今日もぬるぬるさせていただきました!

 
無題
by ZERO@死人 2008.07.09 Wed 15:20 EDIT
>翡翠さん
素敵と言ってくれる貴方が素敵です!!
文はものすごい久々に書きました…。
自分文才ないので極力書かないようにしてたのですが、
文才より日和愛の方が上回ったようです!
ありがとうございますっ!
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