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日和んぐ

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2008.08.17 Sun 「 『導火線』物書き
みそさんに素敵な学園パロSSを頂きました!
転載OKを頂いたので、載せさせて頂きます!



「いい加減教えて下さい。用って何なんですか、閻魔先輩。」
 放課後の校庭。理由も話されぬまま、校舎の裏へと強引に連れて行かれて、
僕は少し不機嫌そうな声を出した。
だって、会計の仕事がまだ終わってないのだ。
五時半までに松尾先生に、報告書を提出しないといけないのに。
 少し先を歩いていた細い背中が立ち止まる。
振り向いた顔には、一見すると柔和そうな笑みが貼り付いている。
それなのに、何故か僕は一歩後退った。ざり、と靴の裏で砂が鳴る。
「よし!周りに誰もいなくなったし、そろそろいいかな。」
パチンと両手を顔の前で合わせる。
青白い肌は、色白を通り越して死体みたいだ。
「あのさ、いもちゃん。」
「何ですか。」
 貼り付けた笑みはそのままに、血色の透ける紅い瞳の目が、スッと細まった。
「太子のこと、どう思ってる?」
 「…何で、ここでその名前が出てくるんですか。」
「いいから。質問に答えてよ。」
 何なんだ一体。
抑えた声音は、有無を言わさない圧迫感がある。
相変わらず、この人の考えていることはサッパリ分からない。
「どう…って言われても………」
「太子のこと、好き?嫌い?」
 いきなりの質問に、僕は目を見開いた。
「付き合いたいとか、思う?」
「はぁ!?」
 理解不能。ていうか、脈略が無さすぎるよ!
なんでこの僕が、あの青ジャージと付き合いたいなんて思わなくちゃならないんだ!?
「おっ、思うわけないでしょう!?あんなカレー臭い人、嫌ですよ!!」
 いつもワガママばっかり言って、僕を振り回して。
ああ、思い出したら腹が立ってきた。
だから心拍数が急激に上がっているのも、頬が熱いのも、きっと怒りのせいだ。
そうに決まってる。
 不意に閻魔先輩の口許から笑みが消えた。
「それ、本気で言ってるの?」
「え?」
熱を持たない紅い瞳が、静かに僕の目に向けられる。
心の中を暴かれるような、そんな居たたまれない気持ちになる。
視線から逃れるように、思わず俯いた。
 「いもちゃんさぁ、」
感情の籠らない声が言った。
「ホントに太子のこと、分かってる?」
その言葉に何故かカチンときた。顔を向き合わせていたくなくて、背を向ける。
「…閻魔先輩には、関係ないでしょう。」
 …やり過ぎだ。目上の人に対する態度でないことは分かっている。
でも、そんな言葉が口をついて出て来てしまった。
しかし相手はそれで引き下がらなかった。
 「いーや?関係大アリだねぇ。だって、俺は太子のこと好きだもん。」
のんびりとした声が響く。だけどきっと、眼は笑っていないんだろう。
「好きだもん」というフレーズに、体が強張った。
 「太子が常日頃、どんなことを考えてるのか…キミは知らない。」
僕は何も答えられなかった。
そう言えば確かに、僕は太子の気持ちをほとんど知らない。
いつも何かにつけてベタベタと構ってくるものだから
ただ漠然と、自分は気に入られているのだろうと思っていただけだ。
彼の口から、ハッキリとそう聞いた訳でもない。
 「僕…は…」
「…ねぇ。キミがいらないんなら、さ。太子は俺がもらっちゃうけど、良い?」
耳元に顔を寄せられ、低く囁かれると全身が粟立った。
反射的に相手の顔を見る。
中性的な顔立ちの副会長は、初めて見せる妖艶な笑みを浮かべていた。
 背筋を暑さのためではない汗が流れ落ちるのを感じる。
ざり、とまた靴の裏で砂が鳴った。頭にポンと手を置かれる。
「素直になりなよ?俺に嘘は通用しないんだからね。」
 「じゃ~そういうコトだから。よろしくね!」
パッと一瞬で元の柔和な笑顔に戻る。
ばいばーい、と元気よく手を振りながら先輩は走り去って行った。
残された僕は緊張が解けると同時に、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。
「…そういうコトって言われても…どういうコトだよ……。」
 はぁ。なんか疲れた。
僕はやっぱり、閻魔先輩が苦手だったりする。
 「僕の気持ち…か。」
本当のところ、僕は太子をどう思っているんだろう。
あの人は臭いし、ウザいし、キモいし、正直ムカつくけど。
 …けど、それだけじゃ、ない気がする。
「何なんだよ…もうぅ……。」
髪に手を突っ込んで、ぐしゃぐしゃと掻き混ぜてみる。
けれども、胸の中のざわざわは一向に収まりそうもなかった。

***

 「どこ行く気ですか、大王。」
「鬼男くん!?い、いつからそこにいたのっ!!?」
昇降口の角を曲がったところで、俺は鬼男くんと出くわした。
「あんたが小野を校舎裏に引っ張って行ったくらいからですよ。」
「それって最初からじゃん!?嫌だわー、この子ったらとんだピーピングト…」
「殴るぞお前。」
「ごめんなさい。」
 俺が素直に謝ると、鬼男くんは腕を組みながら小さく溜息を吐いた。
「…あんたも、損な性格してますね。」
声には呆れの成分が、多分に混じっていた。これには苦笑いを返すしかない。
「だってさぁ、見てらんないんだもん。いもちゃん、素直じゃないからさ。」
「だからって何もすすんで悪者役買って出ることもないでしょう。
 さっきので、あんた完全に小野に嫌われたと思いますよ。」
 導火線に火は点けてきた。後は、待つだけ。
 「別にいいよ。誰かさん1人だけが、ちゃんと分かっててくれれば。」
俺は、とんとんっ、と階段を2・3段駆け上がる。
ちょっとだけ振り返って、少し上から特別な視線を送ってあげる。
「それが分からないような子を、付き人にした覚えはないけど?」
 俺がニッコリ笑ってみせると、鬼男くんも少し笑って答えてくれた。
「はいはい…。ちゃんと分かってますよ、閻魔大王。」
 俺のことは世界中で君だけが分かっていてくれればいい。
追いついてきた褐色の掌が俺の手を握る。繋いだ場所から彼の体温が伝わった。
もうそれだけで、息が詰まりそうなくらいに幸福になる。
 この世界で俺は今、君と素敵な恋をしています。
[Fin.]

2008/08/16  『導火線』 (c)みそ汁
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絵茶おつかれさまでした!
by 翡翠 2008.08.17 Sun 19:58 EDIT
有り難うございました!
今回も凄くぬるぬるさせていただきましたww
これからもストーk(げふんげふんげふん

ぜろさんは神ですから!ww


みそさんのSSwwwww
素敵ですね!!!!!((ぬるぬるぬる

 
無題
by ZERO 2008.08.18 Mon 19:31 EDIT
>翡翠さん
絵茶おつかれさまでした!そして参加ありがとうございました!
私も毎回参加してくださる皆様にぬるぬるしっぱなしでございますv
∑ストーk!ふごー!私なんか付け狙っても、良い事ありませんよ!w

素敵ですよねぇvv私も学園に火がつきましたw
今後このブログでも増えると思いますw

 
ありがとうございました!
by みそ汁 2008.08.18 Mon 23:15 EDIT
 この間はお世話になりました!
楽しい時間を過ごさせていただいて・・・^^
こんなステキな方々と知り合えたなんて、日和好きでよかったと思いました。
そして、ぜろ神さまに出会えたことを光栄に思います。

 日和学園カテゴリ超嬉しいです!
また、日参しちゃうんだから!!

 違うよ!僕をそんな目で見ないでよ!
ストーカーじゃないよ!
たとえストーカーだとしても、ストーカーという名の変態だよ!!

or2
 ぜろ神の学園マンガ、ぜひ拝見したい・・・です!

 
無題
by ZERO 2008.08.19 Tue 22:09 EDIT
>みそさん
いえいえこちらこそありがとうございました!
私も皆さま方に出会えて本当に日々幸せを感じておりますv
∑わ、私は神ではないです!私の周りが神ばかりなんです…orz

えへへー(´▽`*カテゴリ作っちゃいました!
だって絶対増えるもん!! ←増やす気満々

ちょwwwストーカーと変態は紙一重だよ!!!
マンガかー!描きたいなぁ…。
ストーリーは頭の中にあるのに、画力が足りなぁい!or2
でも愛でカヴァーしつつがんばりたいんだぜ!
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